技術開発の取り組み

最先端の技術開発は、安全・安心・環境のために。

現代における船舶開発は、お客様の望む船舶を具現化するのはもちろんの事、環境への負荷が少ない低燃費の船舶である事、そして、船を造る作業者に対して安心を与える船舶である事が求められています。
今治造船の技術集団はこれらの命題をクリアすべく、日々最先端の船舶技術に取り組んでいます。

エアロ・シタデル ~省エネ+海賊対策を実現する上部構造~

「エアロ・シタデル」は、上部構造を居住区、機関部ケーシング、ファンネルを一体化したスリムな流線形状とすることにより、航行時の風圧抵抗25~30%削減(風洞実験結果による)を達成致しました。これにより、18万トンバラ積貨物船の場合、燃料消費量を約2%削減することが可能となります。(※)

また、居住区内や機関室内の照明に新型舶用LEDを採用することで、照明用電力消費量の50%低減を実現します。上部構造の形状により、投錨停泊中には風上に船首を向けやすく、正面からの風圧抵抗が少ない為に、安全面において従来型よりも走錨の危険性が低くなります。

また海賊対策として、暴露部階段などを上部構造内部に収めることに加え、下層デッキ入口の鋼製扉の強化や窓の防弾化を施し、更に放水装置との組合せにて、船内への海賊の侵入を防ぎます。併せて、船員の更なる安全確保の観点から避難場所を配置し、全船員が数日間立てこもれる設備、二重セキュリティードア、エンジンの停止や操舵機の操作機能、本船データや映像・音声の収集機能、また、船内電源喪失時にも使える通信手段を装備します。

そして、防音・防振性を強化したSOLAS条項MLC2006の強制要件の先取り設計を行い、船員居住性を高める一方、操舵室は後方にも広い視界を確保し、操船上の安全に配慮しています。

今治造船は近年、社会的関心の強い省エネや環境問題に配慮しながら、徹底した海賊被害の防止、船員に対する安全性・居住性の向上を目的とした次世代の上部構造「エアロ・シタデル」を、可能な船種・船型に提案します。

(※)常用出力航行時、正面より約9m/Sec.(ビューフォート5相当)の風を受けた状態での計算。

NSafe®-Hull(エヌセーフ ハル)~衝突時の損傷を最小限に~

新日鐵住金株式会社が開発した、衝突安全性に優れた高延性造船用鋼板「NSafe®-Hull(エヌセーフ ハル)」が、 今治造船、独立行政法人海上技術安全研究所との実用化に向けた共同研究を経て、世界で初めて株式会社商船三井の船舶(ばら積み船)に採用され、2014年8月に進水いたしました。「NSafe®-Hull」は鋼板の延びに優れている為、船舶に適用した場合、船舶の側面から衝突された際に穴が開くまでの衝撃吸収エネルギーが約3倍となります。

これにより、従来の鋼材に比べて船体に穴が開きにくくなり、浸水防止や貨物保護、深刻な環境汚染につながる油流出の防止も担っています。 「NSafe®-Hull」は鋼板の延び性と船舶の衝突安全性に関する3社での共同研究の結果、世界で初めて実現した製品になります。

IBSS(アイビス) ~運行中の船舶情報をタイムリーにキャッチ~

IBSSは昨今の海技技術者の不足に対して、タイムリーな船舶データの入手によって効率的な船舶管理を目的として開発されました。新船陸間通信システムは、本船乗組員の手をわずらわすことなく、各船の運航・航海・荷役情報を取得する事が出来ます。 取得した船舶毎の航海・機関情報はWEBページ上に表示され、蓄積されたデータは何時でも閲覧することが可能で、24時間365日、船舶の保守や運航管理にご活用頂けます。