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2025年 定例記者会見の概要

7月23日(水)に開催された当社記者会見の概要を下記の通りお伝えいたします。

① 2024年度の回顧と2025年度の展望
 2024年度は、地政学リスクはありながらも海運マーケットは堅調に推移し、受注も順調に伸ばすことができました。為替も変動はありながらも年度末は149円台で終え久しぶりの好決算を出すことができました。 2024年度の竣工量は68隻、308万総トンでした。 内訳は、ばら積み運搬船53隻、コンテナ船11隻、自動車運搬船4隻の構成になりました。
2025年度は、トランプ政策の影響で先行きの不透明感から為替、海運マーケットが乱高下しており、受注環境は先物納期ゆえ不確実性が高く、予想通りには進まない可能性が高いと思っています。 生産面においては日本政府のサポートを受けながら、人材不足の中での増産体制の構築を図りたいと考えています。

② 新造船マーケットの現状と見通し
 2024年度は82隻、420万総トンの受注を獲得し約4年分の工事量を確保しました。メタノール焚きばら積み運搬船6隻もこの受注に含まれています。
今年度は、IMOルールの動向や地政学リスクの高まり、トランプ政策の動向から見通しが立ちにくくなっているので、新造船発注は様子見に入るのではないかと思っています。ただ、コンテナ船の引合いは昨年同様に底堅いものがあると感じています。

③ 業績と経営課題について
 昨年度の売上げは4,646億円と増収増益となりました。
今年度は若干円高基調に推移しており、資機材や人件費のアップも続いていますが、安定利益を出せるように努力して参ります。また、脱炭素に向けた代替燃料船に関する生産体制の構築と建造量のアップが課題であると認識しております。

④ 競争力強化策の取り組み
 当社はジャパン マリンユナイテッド株式会社の株式持ち分を30%から60%に増やすことにしました。
2021年1月から営業・設計の共同会社である日本シップヤード株式会社を設立して、500隻以上の受注を重ね日本建造シェアの過半数を占めるまでになりました。しかしながら、人材不足や、設計の対応能力の充足の遅れから生産を伸ばすことができず、日本の建造量シェアは約13%まで落ち込んでいます。
両社による生産協力体制の構築、共同購買への取り組み等により更なる競争力アップを図っていきたいと考えております。

⑤ 設備投資の計画・進捗状況
 生産設備としましては、GX経済移行債を活用した「ゼロエミッション船等の建造促進事業」の採択を受け、丸亀工場の西多度津事業部に艤装用プラットホームや代替燃料タンク生産設備を2028年度中に整備する予定です。
今治造船およびグループ造船所向けに船舶の居住区部分などを一括製造している西条工場の東ひうち事業部では、作業員の作業環境を改善するため、日差しを遮り雨天の影響を受けない移動建屋を建設中です。
福利厚生に関しては、丸亀工場工作オフィスが今年3月に完成しました。
今後、丸亀設計・事務所向け新社屋をはじめ、今治造船グループ各拠点の事務所を順次建て替えていくことを検討しています。

⑥ 技術開発、新製品開発への取り組み
 LNG、メタノール、アンモニアの代替燃料については、コンテナ船、ばら積み運搬船、自動車運搬船など受注バリエーションを増やすべく、標準船型の開発に向けて検討を続けています。
また、代替燃料タンクの内製化に向けた検討は順調に進んでいます。 液化CO2運搬船、電気運搬船、液化水素運搬船などについては他社と協議を続けています。
また、人材不足を補うための対策としてDX推進室が中心となり全社的なDX化に取り組んでいます。 産学連携では、愛媛大学・船舶海洋工学センターと、東京大学・海事デジタルエンジニアリング講座“MODE”に加え、大阪大学・先進海事システムデザイン共同研究講座“阪大OCEANS”にも参加しました。
なお、愛媛大学では2026年4月に工学部・海事産業特別コースが開設され、3年目以降は今治サテライトでの講座も始まります。当社としても支援していく予定で、各大学の特徴を生かした連携を加速させていきます。

⑦ 人員規模(現在の人員体制、新規採用状況等)
 2025年度は114名の新入社員が入社し人員規模は1,968名、全社員の平均年齢は37歳となっております。 2026年度は約100名の採用を予定しています。

⑧ 米国の海事関連政策の造船業や経営への影響
 当社は艦艇の建造に携わっておりませんので、米国の造船業への支援は難しいかも知れませんが、人型ロボットの開発などで協業することは興味深いと考えています。今、日本政府も経済安全保障の観点から造船業を支援しようとする動きが出てきています。この流れに乗って日本の造船業も生産能力の拡充を図っていきたいと考えています。

⑨ 韓国、中国の造船業の動向に関する意見
 中国の造船業は受注シェア70%、建造シェア50%を占めるようになり、技術開発及び生産規模においても日本の造船業は遅れを取っています。
これからは日本の造船会社と舶用メーカーが協業して日本の造船シェアの回復を図っていきたいと考えています。

左から、長尾取締役、檜垣清志専務、檜垣幸人社長、檜垣和幸専務、藤田専務
檜垣幸人社長
記者会見の様子