7月23日(木)に開催された当社記者会見の概要を下記の通りお伝えいたします。
①2025年度の回顧と2026年度の展望
2025年度は、為替の乱高下がありながらも結果的には10円近い円安に振れ、海運マーケットも比較的堅調に推移したため、受注、業績共に順調に推移した一年でありました。
一方で、日本政府において経済安全保障の観点から造船支援の検討が本格化し、総合経済対策には官民連携による1兆円規模の投資支援策が盛り込まれました。造船が17の重点投資分野の一つとして位置づけられ、日本の造船業再興への機運が大きく高まった一年でもありました。
このような中、当社は68隻、376万総トンの新造船を竣工することができました。内訳は、ばら積み貨物船45隻、コンテナ船11隻、自動車運搬船6隻、プロダクト船3隻、RoRo船3隻の構成となっています。
2026年度は、米国とイランとの軍事衝突に端を発したホルムズ海峡封鎖問題が日本のエネルギー輸送に大きな影響を及ぼし、ナフサ由来のシンナーの供給不足や各種資材の値上げ攻勢に見舞われています。当社としては、計画通りに船を竣工していくことに注力したいと考えています。
②新造船/修繕船マーケットの現状と見通し
2025年度は81隻、406万総トンの受注を獲得し、約4年分の工事量を確保することができました。一方、ジャパン マリンユナイテッド株式会社は21隻、183万総トンの受注を果たしたことで、船型もコンテナ船、スエズマックス、アフラマックスタンカーと多岐にわたることとなりました。
先般、ギリシャの海事展ポシドニアの前後に欧州を訪問しましたが、当社建造船は他国より船価が高いものの、品質と実海域性能を優先して評価いただき、2030年納期の案件でも商談が着実に成約へとつながることに手応えを感じました。やはり設計性能と品質レベルを維持、向上させていくことが重要であると感じています。
③業績見通しと経営課題について
2025年度の売上げは、6,005億円となり前年比29%の増収となりました。大型コンテナ船の竣工が始まったことに加え、円安にも恵まれて6,000億円の大台を超えることができました。一方で、資機材価格のアップ、人件費の高騰、工程の混乱なども見られましたが、昨年並みの利益を確保することができました。今後も安定して収益を確保することができると考えています。 今後の経営課題としては、人手不足の中、増産体制をどのように構築していくかが重要となります。工程のDX化やロボット化を推進してまいりたいと考えています。
④競争力強化対策の取り組み方針について
2026年1月にジャパン マリンユナイテッド株式会社の株式60%を取得し、グループ化しました。これにより日本建造シェアの過半を担う体制となりました。今後は両社の強みを生かしながら、次世代船舶の開発や生産性の向上、建造量増大のスピードを上げていきたいと思います。
また同年4月には日立造船マリンエンジン株式会社の株式60%を取得し、グループ化しました。船舶の建造に加え、主機関を含む舶用機器分野との連携も強化していくことで、当社グループ全体の国際競争力を高めていきます。
⑤設備投資の実施計画・進捗状況について
生産設備としましては、昨年度採択されたGX経済移行債を活用した「ゼロエミッション船等の建造促進事業」や造船業再生基金を使って、 増産に資する設備投資を行う予定です。
GX経済移行債では昨年度に引き続き、2028年度中の完了を目指して西多度津事業部に艤装用プラットホームや燃料タンク生産設備の整備を進めています。そのほか、2026年度は丸亀工場ではラインウェルダーなどの自動溶接設備の更新などを行います。
これから人材確保が難しくなる中、福利厚生関連の投資に力を入れていくことを考えており、西条工場の食堂棟、広島工場の別館、グループ造船所の事務所整備を予定しています。
今後も、人材確保のための働きやすい環境づくりと増産のための生産基盤の強化の両立に、取り組んでまいります。
⑥技術開発、新製品開発への取り組み
本年5月に開催されたMEPC84において、GHG削減関連規則の採択が延期された関係から新造船の商談・受注における新燃料適用への要求はあまり進んでいません。LNG燃料自動車運搬船やLNG燃料大型バルカーは連続建造していますが、今年はメタノール燃料大型コンテナ船や大型バルカーに挑戦していきます。
また、株式会社MILESに邦船3社とジャパン マリンユナイテッド株式会社、日本シップヤード株式会社が新たに出資して液化CO2輸送船の船型開発を始めています。
産学連携では、大阪大学・先進海事システムデザイン共同研究講座“阪大OCEANS”に昨年、ジャパン マリンユナイテッド株式会社と共に参画しました。なお、愛媛大学では今年4月に工学部・海事産業特別コースが開設され、3年目以降は今治サテライトでの講座も始まります。
設計作業の効率アップや現場作業の省人化・効率化につながる技術、いわゆるDX・AIに関する技術開発について、大学、ロボットメーカー、センサーメーカーと連携し、研究を加速させています。
⑦人員規模(現在の人員体制、新規採用状況等)
2026年度は91名の新入社員が入社し人員規模は2,026名、全社員の平均年齢は37.2歳となっています。2027年度は約100名の採用を予定しています。
⑧韓国、中国の造船業の動向に関する意見
中国の造船業においては、休眠設備の再稼働や設備の新設等を推し進め積極的な受注活動を展開しています。果たして、これらの新造船が納期通り竣工していくかは疑問ですが、今後の動向を注視していく必要があります。最近では日本が得意としてきた自動車運搬船や、韓国が強みを持つLNG運搬船の分野にまで受注を伸ばしてきています。
今後はオールジャパンで日本の造船建造量を拡大していく必要がありますが、日本と韓国との協力関係も必要ではないかと考えています。


