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社長記者会見の概要

2020年7月13日(月) に行われました、当社社長記者会見の概要をお伝え致します。

1.2019年度の回顧と2020年度の展望について
2019年度は、米中貿易摩擦、英国のBrexitなどで世界経済は伸び悩み新造船価も低調に推移していましたが、年明け早々新型コロナウイルスの流行で経済が大混乱し、新造需要が喪失した状態が続いています。その中で当社は、大型コンテナ船、ばら積み貨物船を新型コロナの影響を受けながらも、97隻の新造船を引き渡す事ができ、建造量も過去最高の525万総トンとなりました。2019年度の売上高は、低船価の竣工船のため3,806億円となり減収減益となりました。 2020年度も、各種ばら積み貨物船やコンテナ船の建造が続きますが、収益改善に努めて参りたいと思っております。

2.新造船マーケットの現状と見通し
2019年度の海運マーケットは低迷を続け、今年に入ってからは新型コロナの影響を受けて受注が喪失したため、2019年度は26隻の受注に留まりました。船型は中小型バルカーやVLCC、MRタンカーになりますが、大型船は船価の違いから受注を控えることにしました。しかしながら、今年の後半はケープサイズの運賃も正常に戻ってきているので、大型船も含め受注を再開していこうと思っております。

3.業績見通しと経営課題について
今年はばら積み貨物船中心の建造からVLCC、大型コンテナ船の建造が始まりますが、工程・品質を安定させ目標通りの収益を上げるようにしていきたいと思っております。また、これから新ルールに対応した新造船が出てきますが、そのコストに見合う船価になっていないのが現状であり、それでも一定量の仕事量確保に向けた受注をしていくつもりです。

4.競争力強化策の取り組み
今年の3月にJMUと資本業務提携契約に調印しました。秋頃には営業・設計統合会社として日本シップヤード(NSY)が誕生します。両社で環境に優しい最先端の船を開発して、どこよりも早く建造することを目的としています。

5.設備投資の実施計画・進捗状況について
昨年は新笠戸ドックの埋立て工事が完了しましたが、今年も大きな投資はなく、各工場で設備の更新を行っております。

6.技術開発、新製品開発への取り組みについて
GHG削減の観点から、新燃料船の開発が急務であると考えており、LNG/LPG/アンモニア焚きなど具体的に建造や試設計を開始しております。LNG焚きは、西条工場建造のLNG船で蓄積した知見と経験をベースに設計したPCCが、現在多度津造船で建造中となっております。LPG焚きは、18万トン型バルカーの試設計を終了し、本年4月に日本海事協会よりAiPを取得し、アンモニア焚きは、6社共同で主機の開発から燃料インフラ整備まで幅広いプロジェクトに参画することにしました。まだ、具体的に展開する船型は決まっておりませんが、当社では船型開発の分野を担当することになります。

7.人員規模(現行、新規採用状況等)
今年度は78名が入社して1,660名となり、全社員の平均年齢は36.2歳となっています。 来年も60名程度を予定していますが、地元採用も増やして行きたいと思っております。

8.韓国、中国の造船業の動向に関する意見
中国では国営2大造船所の統合、韓国では現代重工業による大宇造船海洋の買収合意がなされ、巨大造船企業ができようとしています。政府支援のない公正な競争をお願いしたいと思っております。ただ、今のような状態が続くと日本の造船業もこのままでは立ち行かなくなり、日本の貿易の99%は海上輸送で成り立っていますので、その物流を守るためには、国・団体から何らかのサポートが必要ではないかと思っております。

左から、渡部常務、檜垣清志専務、檜垣幸人社長、檜垣和幸専務、藤田専務
檜垣幸人社長