今治造船株式会社
新卒採用情報

PROJECT

世界最大級の
「24,000TEU コンテナ運搬船」
を建造せよ。

OUTLINE

2023年8月17日、「世界最大級のコンテナ船 運航開始」のニュースが報じられた。今治造船が建造を手がけた「24,000TEU コンテナ運搬船」(以下、「24K」)だ。輸送費の高騰が続く中、海運業界ではコンテナ船の大型化が進んでいる。一度に24,000個のコンテナを運ぶことができるこの「24K」は、輸送効率向上のニーズに応える世界最大級の輸送力を誇る。世界の海運業界に大きなインパクトを与えた大型船であるが、それだけに建造は容易ではなかった。次々と現れる難所を乗り越え、晴れてお引き渡しの瞬間を迎えるまでの日々を、プロジェクトメンバーが振り返る。

MEMBERS

K.B.
工作部 艤装グループ
1995年入社
機械科卒
本プロジェクトにおける役割
工作担当のプロジェクトマネージャー
M.N.
第二設計部 船装グループ
2008年入社
機械工学科卒
本プロジェクトにおける役割
設計担当のプロジェクトマネージャー
K.N.
艤装グループ 機電装チーム
2014年入社
機械創造工学卒
本プロジェクトにおける役割
機関室内の工事や各種機器の運転管理を行う現場リーダー
Y.K.
建造船営業
2021年入社
総合科学部 社会総合科学科卒
本プロジェクトにおける役割
船主様と造船所の間に立って両者の橋渡し役を務める営業担当
phase

設計〜ドック搭載

Y.K.

私がこのプロジェクトに3代目の営業担当として加わったのが、2022年の夏頃。ちょうどドックでの搭載作業が始まった頃でした。設計自体はもっと以前から進められていて、結構難航したと聞いていますが。

M.N.

そう。この「24K」は、ジャパン マリンユナイテッドとのコンソーシアムで建造する最初の船ということで、そこでの調整が最初の壁となった。両社ともにそれぞれ設計や工作を行う上での基準があり、それらの仕様をつまりは「設計思想の統一」を図るところから試行錯誤する必要があった。建造する船の規模も初めてなら、つくり方も初めてとあってなかなか思うように進まず、すでに難産の様相を呈していたように思う。

Y.K.

なんといっても世界最大級の船ですからね。その規模感は、監督さんの人数にも表れています。船主様から派遣されて現場に常駐し、工事チェックを行う「建造監督」と呼ばれる立場の方が、通常の船だと1人、多くても2人ですが、「24K」の場合は7人。最初はその数に驚きましたが、「そうか、これが世界最大級の船をつくるということか」と、やる気がわいてきました。

K.B.

しかし、やる気だけで乗り切れるものでもなかった。

Y.K.

そうなんです。7人いらっしゃれば、チェックする目も7倍。工事が進むに従って、「ここは仕様と違うのではないか?」「ここはどうなっているか説明してほしい」といったコメントが非常に多く寄せられるようになって・・・。加えて、建造監督さん以外に、運航後に実際に船を運用する用船者の方も、月に一度様子を見に来られてコメントを出されていたので、それにも対応する必要がありました。通常なら、私がコメントの内容に応じて設計や工作といった各部門に回答や調整を依頼するのですが、とてもじゃないけれどそれでは回らなくなって、あっという間にキャパオーバーになってしまいました。

K.B.

設計、工作、それぞれで関わっている人も多い上、問い合わせ事項の数も多かったので、タイムリーに建造監督さんに回答できない状態になってしまった。そこで、私が工作担当、M.N.が設計担当、Y.K.が営業担当の、それぞれプロジェクトマネージャーを務めるかたちで、3人でプロジェクトマネージャーチームを結成した。そして、後に加わるK.N.たち現場担当者とも密に連携するようになって、なんとか体制は整った。

M.N.

基本的にはマネージャーチームの3人で毎朝、建造監督さんのところへ挨拶に行って、変更要望や質問・確認事項などのコメントをいただく。それらのコメントについて期日までにちゃんと対応できるよう、設計・工作の各担当者へ依頼をかけ、その進捗も管理しながら、建造監督さんに回答していくようにした。マネージャーチームはいわば交通整理にあたる機能を果たしたわけだが、担当者からも「助かりました」という声をもらったので、日々充実していた。

Y.K.

一番助かったのは、たぶん私だと思いますが(笑)。

phase

進水

M.N.

進水を迎えた2023年2月頃。ここからK.N.もプロジェクトに加わった。

K.N.

そうです。私はそれまで別の船を担当していたので、最初は「24K」が具体的にどのような船かを理解するところからのスタートでした。で、現状をざっと把握した上で、5月に予定されている海上試運転までにやらなければならない作業をリストアップし、時間をはじき出すと、到底試運転には間に合わない・・・。正直、これはまずいと思いました。

K.B.

本来は進水までに終わらせておくべき工事が実はまだかなり手つかずで残っていて。通常であれば、すでに取り付けられている機器を、K.N.が順次調整しながら動かしていくはずなんだけど、機器自体を取り付けるところからやらないといけない状態だった。

K.N.

機器を取り付けたら取り付けたで、トラブルが多かった。今治造船が初めて扱うメーカーのものが多かったのと、「24K」規模の大型船向けの機器はメーカー側でも採用実績が限られていて、不具合情報もあまりなく、調整も手探りでやるしかなかったので時間がかかりました。とはいえ、できない理由なんて探せばいくらでも出てくるわけで、「24K」が新設計かつハイスペックな船である以上、トラブルはつきもの。であれば、それはもうそれとして受けとめて、みんなでできる方法を考えてやっていこうという気持ちでした。

Y.K.

現場の皆さんが一丸となって頑張ってくださっている中で、試運転の日は確実に近づいてきました。ここはもう残酷なくらいシビアでしたね。

K.B.

日程が5月24日と決まっていた。というのも「24K」があまりに大きな船なので、来島海峡大橋の下を通るには潮位の関係で、その日しかチャンスがない。でも作業の進捗を考えると、やはり厳しい。GWを過ぎた頃には、スケジュールを後ろに倒すかどうかギリギリの判断を迫られた。で、K.N.たち現場の担当者みんなを集めて「順延も考えている」と相談したところ、みんなからは「試運転は予定通り5月24日でいきましょう」と力強い言葉が返ってきた。

K.N.

現場をやってきた者の肌感覚として「あと一歩だ」という実感がありました。頑張れば、やり切れるという。そこに集まっていた誰もがきっと、未来につながる今治造船の新しいチャレンジを、絶対にやり遂げてやるという想いで動いていたんだと思います。

phase

試運転

Y.K.

そこからは今治造船の底力というか、本当に全部門が一丸となって連携して、予定通り試運転の日を迎えることができました。海を航行する「24K」の姿を甲板から眺めながら、ついにここまで来たか・・・、という気持ちでした。

K.N.

試運転は7泊8日で実施しましたが、その間、ほぼエンジンルームにいたような印象です。ずっとエンジンの調整に追われていて、帰着の日も決まっていたので、結構プレッシャーを感じる中での作業でした。

K.B.

先方の乗船メンバーとしては、船主様をはじめ、建造監督さん、用船者さん、実際に船に乗ることになる船員さんなど。全員がそろう最後の夜には、みんな集まってラウンジで乾杯をしたのが印象的だった。建造監督さんから「この日が迎えられて良かった」と言っていただいたときは、仲間と一緒に難所を乗り越えてきた日々が思い出されて、胸が熱くなった。

Y.K.

ただ、これで一段落ではなく、ここからもまだヤマ場が残っていました。試運転中ずっと船のチェックをしていた先方から、最終日に変更要望や質問・確認事項といったコメントをいただいたのですが、数えてみると約200項目ある・・・。それを、お引き渡しまでの約1カ月の間にすべて対応することになりました。

K.B.

特に、船員さんからは強く要望された。「自分たちは、ほかでもないこの船に乗ることになるんだ」と。200という項目数は、船主様をはじめとする関係者の皆さんの、「24K」に対する期待の表れだと感じた。「最高の船をつくりたい」という。それは私たち今治造船のメンバーも同じ。ならば、造船のプロとして完遂するしかないと思った。

M.N.

そこからの1カ月間は、またさらに1段階、団結力が上がったように感じた。中には、難度の高いご要望もあり、担当者が苦労するのは目に見えていたので、対応方針の決定についてはいずれも難しい判断を迫られた。
それでも、プロジェクトに関与したメンバーが集まって、協議し、定期的に進捗管理を実施し続けた。それが、現場の頑張りを良いかたちで支えることにつながったかなと思っている。

Y.K.

お引き渡しのセレモニーの日は決まっているし、気が気ではなかったですが、ふたを開けてみれば、「24K」の建造メンバー全員の総力によって、200項目という物量からは信じられないほどのスピードで作業を完遂できました。

phase

お引き渡し

K.B.

試運転を終えた約1カ月後に迎えたセレモニーは、7月10日が命名式で、12日が出航日。命名式の当日は、急な突風と大雨で準備がまったくできず、どうなることかと思っていたが、直前で奇跡的にカラッと晴れた。

Y.K.

文字通り奇跡的でしたね。私が式台に立ったときは大雨でスーツがびしょぬれになったのですが、お客様が来られたら雨がピタッとやみました。

K.B.

くす玉が割れたときは感動した。「造船業は感動業」と言われるのをあらためて実感した瞬間だった。

M.N.

私はセレモニーに立ち会うポジションではないので、出航の前日に船に上がって、思い出深いコメント対応箇所、工作部に迷惑をかけた場所を中心に船内各所の写真を収めてまわった。検船しながら、「やっと終わったな・・・」と感慨深いものを感じていた。

K.N.

私は出航直前まで、まだ機関室で最終調整をしていました。出航1時間前になってようやく状態が落ち着いてきたので、ほっとしました。このときにはもう、最後の最後まで手の焼ける「24K」が、かわいらしく思えてくるほどになっていました。出航の時間となり、船員の皆さんに機器の説明をして船を降り、離れていく船を見送ったときには「やり切った」という達成感がこみ上げてきました。

K.B.

こうして振り返ると、さすが世界最大級の船だけあって、いろいろ大変なことはあったけれど、「船づくりは楽しい」ということを再確認できたプロジェクトだったと思う。これだけ大きなものをみんなで一丸となってつくり上げる楽しさを存分に味わえた。このチームには感謝しかない。

M.N.

それは私も同感で、チームの一員に任命してもらったことに感謝している。建造監督さんのところに日参して、営業や工作の皆さんと毎日ミーティングした日々も、今思えば楽しく、大きなやりがいを感じられた。今回は自分としては、本来の担当領域よりも広い範囲で関わらせてもらい、ついてきてくれる課員もたくさんいたので、非常に充実していた。その姿を見て、次は部下の中から「自分もやってみたい」と立候補する人が出てきてくれるとうれしい。

K.N.

私は技術者として、これからに活きる学びと経験が得られたというのが大きかった。まったく新しい船型で、扱ったことのない機器を触ることになり、大変だったものの、失敗しながらも少しずつ前へ進んでいく感覚が新鮮でした。新設計のエンジンまわりを実際に現場で自分が主担当として組み上げたことは、大きなスキルアップにつながりました。その過程でたくさんの人に助けてもらって、自分一人ではどうにもならない壮大な船づくりの醍醐味も感じることができました。

Y.K.

この「24K」は船主様の期待値が極めて高く、それは営業担当の私にとって大きなプレッシャーでした。しかし、「最高の船を船主様にお渡しする」という目標に向け、メンバー全員が一つにまとまってその目標を達成することができました。誰か一人でも欠けたらできなかったと思っています。本当に良い経験ができました。これだけ苦労する船はなかなかないので、これから仕事をしていく上で、「24K」をやり遂げたことは自分にとって大きな自信になりました。

K.B.

今治造船の新しいチャレンジはまだまだこれからも続いていく。またみんなで力を合わせて世界に誇れる船をつくっていきましょう。